ものづくり

村澤研究室では、機械システム工学科の3年間で学んできた「力学(材料力学・熱力学・流体力学・振動力学・運動力学)に関する学問」や「設計製図・工作実習など」を、実際の「ものづくり」に応用していきます。

ものづくりの具体的な適用先として、研究室では材料の各種特性(力学・強度特性、振動特性、熱特性など)を評価するためのさまざまな試験機の開発を行います。

材料を評価するための試験機は、複数のアクチュエータとセンサーからなるメカ(機械)です。そして、材料評価の基本は、アクチュエータで材料に「刺激」を与え、材料の「反応」をセンサーで計測することです。計測された反応を解析することによって、材料の特性を評価することができます。

【試験機開発の流れ】

1. 計測原理の構築
2. 計測装置の原案の作成
3. 制御系の原案の作成
4. 設計図面の作成
5. 部品調達・部品の加工
6. 組立
7. 計測・制御ソフトウェアの作成
8. 解析ソフトウェアの作成
9. 試験機のチューニング
10. 完成
下記の試験機開発の目的:電子顕微鏡中で小さな試験片に引張負荷を与え、変形中の試験片表面の組織
            画像を連続で撮る。デジタル画像相関法を用いて変形中の試験片表面の変位
            分布を算出し、変位分布から歪み分布を算出する。
計測装置の原案

図は、走査型電子顕微鏡中で引張試験を行うための真空対応小型引張試験機の組立図です。計測原理に従って、どんなセンサ・アクチュエータを使用するのか?それらを装置のどこに組み込むのか?が設計の肝となります。

制御系の原案

PCからアクチュエータを制御し、センサーからの情報をPCに取り込みます。PCからアクチュエータを制御するためにはコントロールドライバーや発信機などが必要となります。同様に、センサーの情報(電圧)をPCに取り込むためには、アンプやAD変換ボードが必要となります。
使用するアクチュエータやセンサーに応じて、必要な機器の選定・購入を行います。

設計図面(部品図)

部品の設計を行い、SolidWorks (CAD)で図面を作成します.
図は、真空対応小型引張試験機の台座部分の部品図です。

部品の加工

購入した丸棒・板などの素材を、設計で決めた部品形状に加工します。金属部品の場合はものづくりセンター(工場)で切削加工し、プラスチック部品の場合は3Dプリンターで作製します。

試験機の組立

図は、完成した真空対応小型引張試験機の写真です。
実体顕微鏡・光学顕微鏡・走査型電子顕微鏡下で材料に単軸引張負荷を与えることができます。

計測・制御ソフトウェア

LabVIEWという計測・制御に特化したプログラミング言語を用いて、計測制御ソフトウェアを開発します。
図は、開発した真空対応小型引張試験機の計測制御ソフトウェアです。単軸引張負荷中の力と変形を計測するとともに、異なる倍率で材料表面の組織を撮影できます。

解析ソフトウェア(機械学習)

MatlabやPythonといったプログラミング言語を用いて、解析ソフトウェアを開発します。
例えば、真空対応小型引張試験機による単軸引張負荷中に得られた試験片表面の画像を用いて、「デジタル画像相関法により試験片表面の変位分布を算出し、変位分布からひずみ分布を算出する解析ソフトウェア」を作成することができます.
また、機械学習を用いることで、大量の計測データを分別したり(分類)、現象の予測モデルを構築すること(回帰)ができます。